スタッフの青木ポンチです。
10/17の深夜に放送されたフジテレビ系『NONFIX』。「原発アイドル」というタイトルに引き込まれ、思わず夜ふかししました。
「原発アイドル」の正体は、結成20周年を迎えた「制服向上委員会」というグループ。女性アイドルグループとしては最古参のようです。(代替わりはしている)
D級アイドル臭漂うこのグループ、名前だけはかろうじて知っていましたが、再認識したのは昨年リリースの『ダッ!ダッ!脱原発の歌』。
制服向上委員会『ダッ! ダッ! 脱・原発の歌』
個人的には、カップリングの『原発さえなければ』のほうが好きです。
番組では、そんな彼女たちが原発事故後、どのように活動し変化していったかを1年がかりで追っていました。
腑に落ちたのは、プロデューサーの存在。彼女たちのいっさいを取り仕切る高橋廣行氏は、口ではノンポリとうそぶいていましたが、ルーツをたどればバリバリの学生運動世代。
しかも、曲作りには元「頭脳警察」のPANTA氏が加わっているのです。熱いロックおじさんたちのほとばしるパッションを、今を生きる少女たちに投影しているのです。
大人の押しつけ的な芸能ビジネスって、うさん臭く思っていましたが、逆に最近のおじさんたちは押しつけがなさすぎて、若者におもねっている感が強いので、「逆に新鮮」と思いました。
そんな「押しつけ社会派」のレッテルを、少女一人一人がどう咀嚼していくか。その過程をカメラは、あまりまとまりなく追っていました。
「脱原発」という劇薬が投じられ、メンバーはおおむねその流れに身をゆだねる中、どことなく居心地の悪さを感じ、活動から離れていく少女も。
これって、もろに僕たちのコミュニティ-のあり方を反映しているようです。今まで付き合っていたある人々と距離を置き、一方で縁もなかった新たな人々とつながっていく。
揺れ動くグループに、新たに福島出身の中学生が加入するのですが、期待するような「いかにも被災者」といった風情はかけらもない、平凡すぎる少女。原発問題について聞かれても「原発……げんぱつを……原発…よくわからないです」と、まったく要領を得ません。でもそのボンヤリした姿に、「社会派」と呼ばれるアイドルグループ、ひいては「未曾有の国難」にあえぐ国民のリアルが透けて見えました。
同じく14歳の原発アイドルとしてめきめきと頭角を現し、すっかり「脱原発の顔」となった藤波心さんがいます。
先日、『原発問題に「無関心」なあなたへ』という単行本の出版記念イベントをのぞいたのですが、そこに登壇した心さんは、日々成長する活動家の顔になってました。「若いのにエライ」ではなく「若いからこそ、おじさんよりエライ」と素直に感じました。
藤波心『LOVE!LOVE!ハイロ』
脱原発運動がメジャーに盛り上がる一方で、それでも砂のように広がる無関心層。その温度差を埋める作業が、自分のようなメディア人の端くれに求められている気がします。
そして、組織主導ではない、ほんとうの民主主義が日本に根付くかどうかも、この原発問題が問いかけている気がします。
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「原発アイドル」が教えてくれたこと
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